人生を楽しく豊かにする食の専門家

管理栄養士 神田由佳

20年で、2万人以上に栄養相談を行う。

総合病院、介護老人保健施設などで約10年、調理や栄養指導に携わる。


現在は、栄養学、食品衛生学、子供の食と栄養について、専門学校で指導。

 

子どもの頃、父の病気がきっかけで、手術や薬以外に食事も治療の一環であると食の大切さを知り、管理栄養士を目指す。

栄養指導の現場で、従来のカロリー重視の食事のアドバイスでは、制限、禁止、我慢が多く、結果が出てもストレスにより元の食生活に戻ってしまうと実感。

 

食べたい気持ちを我慢せずに、数値の改善とともに体全部が健康になる方法を模索し、カロリーや栄養バランスを気にしなくても、簡単な食事で健康になる食事法を確立。

 

人生を楽しく豊かにする食事で、健康なからだを作る方法を伝えている。

メディア実績

「世界一受けたい授業」「メレンゲの気持ち」「世界まる見え!テレビ特捜部」等

雑誌:『Dr.クロワッサン』(マガジンハウス)
Webメディア:ひとてま、ウェルネスダイニング、ままのて、TORETASU等多数 ​

STORY

「食べることの大切さを教えてくれた家族の死

「食べることが、生きる力になる」と教えてくれた出来事がありました。

 

義父の死です。

 

お正月に挨拶に行くと、いつもわたしのために手作りのおせち料理をふる舞ってくれた義父。築地で食材を買って料理するのが趣味で、食べることが好きな人でした。

 

2016年、義父が脳梗塞で倒れました。命はとりとめましたが、体に麻痺が残りました。それでも「また、車で築地に行くんだ」と、リハビリを頑張っていました。

 

しかし、「もう運転するのは無理だろう」と、夫が義父の車を手放してしまったのです。

 

生きる望みを失なった義父は、途端に食事を口にしなくなりました。

 

それからは、あっという間でした。どんどん身体が弱っていき…。

 

栄養を摂ることだけが、食事の目的ではない。

口から食べることは、生きることなんだ。

 

食べることに対する捉え方が、大きく変わった瞬間でした。

 

それから2年が経った頃。再び、悲しい出来事が起こります。

 

一人暮らしをしていた夫の弟が自宅で倒れ、ひん死の状態で発見されました。救急車で病院に運ばれましたが、もう手遅れでした。

 

40代の働き盛り。肥満による生活習慣病が原因でした。

 

亡くなったあと弟の自宅を訪ねると、ガランとした冷蔵庫に入っていたのは、使いかけのキャベツだけ。

 

お財布には、安い外食のお店のレシートばかりが残されていました。

 

「あぁ、やっぱり・・・」

 

食に無関心だと負の連鎖が起こる。

「食べているから大丈夫」ということではない。

 

家族をたて続けに亡くしたことで、食べることの大切さをあらためて実感しました。

食により助かった命

食により失った命がある一方で、助かった命もありました。

 

わたしが小学3年生のころ、お酒の飲みすぎで膵臓を悪くした父は、入退院を繰り返していました。

 

「次、お酒を飲んだら死にますよ」

 

お医者様に警告されるほどに、父の膵臓は弱っていました。

しかし、母が懸命に、父の体に合わせた食事作りを続けたおかげで、父は回復したのです。

 

「食事が病気の治療に役立つんだ」

 

父が元気になっていく様子をずっと見ていたことで、子ども心にそう思ったのを覚えています。

 

その後も、父は心臓病や肺炎で危険な状態になったことがありますが、いずれも「食べる意欲」があり、食事をしっかり摂ることで、回復します。

 

家族の病気により、「口から食べること」が、生きる上でとても大切であること。そして、口から食べられなくなると、どれだけ命を減らすのかを、教えてもらったのです。

大切にしたい、楽しく食べること

管理栄養士として、転機になったことがあります。

 

それは、勤務していた施設での残食の多さに悩んだことでした。

 

どんなにカロリー計算して、栄養バランスのいいメニューを提供したとしても、完食しなければ意味がない。

 

「残食を出さずに、完食してもらうにはどうしたらいいのだろう」

 

その時に思い出されたのが、実家の食卓の光景です。

料理好きだった母は、いつも食べる人のことを思って、食事を作っていました。

 

「お友達に何が好きか聞いてきて」

 

誕生日会など、友人を自宅に招待するときに、決まって母が口にした言葉です。

 

「自分のため」のメニューが用意されている。

そのことから、友人たちは、わたしの家で食事をするのを、毎回楽しみにしていました。

 

「これは、あいちゃん、こっちは、ようこちゃんが好きなもの」

 

テーブルに料理を並べるときに、母はこんな風にみんなに声をかけていました。

 

わたしの友人、父の仕事関係の人たち。
いろんな人たちと、実家で食事を共にしましたが、出された食事が残ることが、ほとんどありませんでした。

 

「そうだ。患者さんの好きなメニューを作ろう」

 

それから、患者さん一人ひとりに好きなものを聞き、カロリーや栄養バランスに縛られすぎず、好きなものを献立に取り入れることにしました。

 

「これは、あなたが好きなメニューですよ」と伝えて、配膳します。

すると、みなさん喜んで食べるようになり、残食がなくなりました。

 

楽しく食べること。喜んで食べること。

それが、食事において何よりも大切なことだと実感した出来事でした。

偏食の夫との食事を楽しむために

実は、わたしの夫はかなりの偏食で、わたし自身が食事作りに苦労をしています。

 

それでも、わたしが提唱している「ご飯と味噌汁生活」があるから、健康なからだを保つことができています。

 

ちょっと困っているのは、食事を作ってもケチばかりつけてくるので、わたしがだんだんと食事作りを楽しめなくなっていること。

 

そんな中でも、食事を楽しむためにしていることが、お気に入りの食器をそろえることです。

 

優しい色合いの菊の花があしらわれた、素朴な華やかさがあるお気に入りのお茶碗に、雑穀ご飯をよそいます。
ご飯から湯気がほわっと立ち上る。そんな様子を見ているだけで、幸せを感じます。

 

濃い茶色に縁どられたクリーム色の平皿は、和のおかずも洋のおかずも映えるから、簡単な料理もお洒落に見えて、嬉しくなります。

 

食器をお気に入りに変えるだけで、食事が楽しくなり、「次、何作ろうかな」と料理の意欲もわくんです。

 

高齢者で食事を食べないケースでよく見られるのが、お惣菜をパックのまま食べていること。

 

そんなときは、好きな食器に移し替えるだけで、食事が進むようになるのです。

 

わたしが、「食事を楽しむこと」を大事にしているのは、食事が楽しくなければ、食べる意欲がわかないから。

 

食べる意欲は、生きる意欲と繋がっています。

 

だから、カロリーや栄養バランスに縛られすぎず、食べたい気持ちを我慢しない。

それでも、身体が元気になる食事法を提案しています。

 

100歳になっても、口から食べられる」

 

そんな健康な身体を作るために、おひとりおひとりの食生活をサポートしています。

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