更年期の心と体を支える「食の力」
〜“なんとなく不調”の裏にある、ホルモンと栄養の関係〜
■「なんとなく、いつも元気が出ない」
40代を過ぎた頃から、ふとしたときに感じる「なんとなく調子が出ない」。
- 朝スッキリ起きられない
- やる気が湧かない
- 小さなことでイライラしてしまう
- 気分が落ち込みやすくなった
そんな“心と体のグラつき”に気づいている方は少なくありません。
更年期は閉経前後の10年間を指し、ホルモンバランスが大きく揺らぐ時期。
疲れやすさやメンタルの不調を「年齢のせい」にしてしまいがちですが、実はこの不調の背景には「栄養のアンバランス」が深く関わっています。
■ホルモンバランスと“メンタルの波”
女性の体と心を支える大きな要素のひとつが「エストロゲン」という女性ホルモンです。
このエストロゲンは40代半ば頃から急激に減少し、自律神経や脳内ホルモンのバランスに影響を与えます。
エストロゲンが減ると、脳内の「セロトニン」や「ドーパミン」といった“気分を安定させる物質”が不安定になり、不眠・不安・気分の落ち込み・イライラなどの症状が現れやすくなります。
さらに、この時期は子育て・仕事・介護などライフイベントが重なる時期でもあります。精神的なストレスがかかることで、自律神経のバランスが崩れやすく、ちょっとしたことでも「疲れた」「気分が沈む」と感じやすくなるのです。
■「気持ちの揺らぎ」を支えるのは、特別なサプリではなく“日々の食卓”
ホルモンの揺らぎを完全に止めることはできません。
けれども、「揺らぎに強い土台」をつくることは可能です。
そのカギになるのが、特別なサプリや難しい食事法ではなく、「日々の食卓」です。
実は、セロトニンやドーパミンといった“心の安定ホルモン”をつくる材料は、すべて食べ物から摂っています。栄養が不足していると、体は必要なホルモンを十分に合成できず、不安定な状態が長引いてしまうのです。
■ポイント①:血糖値を安定させる
更年期の女性が気分のアップダウンを感じやすい背景には、血糖値の乱高下も関係しています。
朝食を抜いたり、甘いものだけで済ませたりすると血糖値が急上昇・急降下し、イライラ・不安・集中力の低下を引き起こします。
血糖値をゆるやかにキープすることで、気分も安定しやすくなります。
■ポイント②:鉄分とたんぱく質をしっかり摂る
40〜50代の女性は鉄不足になりやすい世代です。
鉄は酸素を運ぶだけでなく、脳の神経伝達物質を作る材料でもあります。
たんぱく質もホルモンや神経伝達物質の原料になるため、欠かせない栄養素です。
おすすめ食材:
- 卵
- 魚(缶詰も◎)
- 豆腐・納豆
- 赤身肉
■ポイント③:腸内環境を整える
「心と腸はつながっている」と言われるほど、腸内環境はメンタルに深く関係しています。
腸でつくられるセロトニンは体内の約9割。腸内環境が乱れると、気分の安定にも影響が出ます。
おすすめの腸活食材:
- 発酵食品(味噌、納豆、ヨーグルト、ぬか漬けなど)
- 食物繊維(野菜、きのこ、海藻、雑穀など)
- 十分な水分
■「完璧を目指さない」ことが続けるコツ
「健康的な食生活をしなきゃ」と意気込みすぎて疲れてしまう方も少なくありません。
でも大切なのは、「今できることを、ひとつだけ」続けること。
- 朝ごはんを食べる
- 味噌汁を1杯足す
- お菓子の前にたんぱく質を一口
■まとめ:「心の元気」は“食”からつくれる
更年期は、誰にでも訪れる心と体の転換期。
ホルモンの揺らぎを完全に止めることはできなくても、「食で整える力」を身につければ、不調に振り回されず、自分のペースを取り戻すことができます。
今日の食卓から、少しずつ「自分をいたわる食」を始めてみませんか?
・明日の朝は「ごはん+味噌汁+たんぱく質」を意識してみよう。
・小さな習慣が、心の安定と笑顔を取り戻す一歩に。