糖質制限ブームによって、炭水化物を多く含む食べ物を減らす方が増えました。
とはいえ、ごはん(米)、パン、麺類は、それぞれが異なる文化や食習慣の中で発展してきた主食です。
ここでは、それぞれの特徴と違いなどあらゆる視点から詳しく見ていきましょう。
主食の種類
ごはん(米)
原料:主にイネ科の植物から取れる穀物である米を使用します。
白米、玄米、もち米などの種類があります。
特徴:ごはんは、水を加えて加熱することで炊き上げるのが一般的です。糊化した米は粘りがあり、ふっくらとしています。
栄養価:炭水化物が豊富で、エネルギー源となります。また、玄米には食物繊維、ビタミン、ミネラルが多く含まれています。
文化:アジア地域を中心に主食とされており、多くの料理で中心的な役割を果たしています。
パン
原料:小麦粉を主成分とし、水、塩、イースト(またはベーキングパウダー)を加えて焼き上げます。
特徴:種類が非常に豊富で、食感や味わいも多様です。発酵させることでふわふわとした食感になるものや、
サクサク、モチモチとした食感のパンもあります。
栄養価:炭水化物のほか、タンパク質やビタミンB群を含むことが多いです。
全粒粉を使用したパンには食物繊維も豊富です。
文化:ヨーロッパを中心に世界各地で消費されており、朝食や軽食、
サンドイッチの材料としても人気があります。
麺類
原料:主に小麦粉を使用しますが、そば粉や米粉を使ったものもあります。
特徴:水と混ぜて練り、長い形状にして茹でるか焼くかすることで調理します。
うどん、そば、ラーメン、パスタなど多種多様です。
栄養価:主に炭水化物が多く含まれますが、材料や調理方法によってタンパク質やビタミンの含有量が異なります。
文化:国や地域によって異なる特有の麺類が存在し、それぞれの食文化を象徴する食品となっています。
これらの主食は、それぞれが持つ文化的背景や食材の特性によって異なる特徴を持っています。
それぞれが栄養価や食感、風味の違いを楽しむことができ、
多様な料理法で世界中の人々に親しまれています。
では次に米と小麦の栄養素についてみていきましょう。
お米(精白米)と小麦粉の栄養素の比較
白米と小麦粉(精製されたタイプ)について食品成分表を基に、一般的な成分を比較してみましょう。
ここでは100gあたりの栄養成分を中心に記載します。
実際の栄養価は品種や製造方法によって多少異なります。
参考資料:日本食品標準成分表2020版(八訂)
100gあたり | 精白米 | 小麦粉 |
エネルギー(kcal) | 342 | 349 |
たんぱく質(g) | 6.1 | 8.3 |
脂質(g) | 0.9 | 1.5 |
炭水化物(g) | 77.6 | 75.8 |
食物繊維(g) | 0.5 | 2.5 |
食塩相当量(g) | 0 | 0 |
マグネシウム(mg) | 23 | 12 |
鉄(mg) | 0.8 | 0.5 |
カルシウム(mg) | 5 | 20 |
ビタミンB1(mg) | 0.08 | 0.11 |
ビタミンB2(mg) | 0.02 | 0.03 |
ナイアシン(mg) | 1.2 | 0.6 |
100gで比較すると、たんぱく質と脂質、食物繊維は小麦粉に多く含まれています。
しかし、普段の食事ではお米や小麦粉をそのまま食べてはいません。
次に1食当たりの量で比較してみましょう。
1食当たり | ご飯(150g)
お茶碗1膳 |
食パン(60g)
6枚切り1枚 |
エネルギー(kcal) | 234 | 149 |
たんぱく質(g) | 3.8 | 5.3 |
脂質(g) | 0.5 | 2.5 |
炭水化物(g) | 55.7 | 27.8 |
食物繊維(g) | 2.3 | 2.5 |
食塩相当量(g) | 0 | 0.7 |
マグネシウム(mg) | 10.5 | 10.8 |
鉄(mg) | 0.2 | 0.3 |
カルシウム(mg) | 4.5 | 13.2 |
ビタミンB1(mg) | 0.03 | 0.04 |
ビタミンB2(mg) | 0.02 | 0.03 |
ナイアシン(mg) | 0.3 | 0.7 |
※ビタミンB1、B2以外は少数第2位を四捨五入しています。
お米は太ると思われていますが、実はパンの方が太りやすい。
ご飯と食パンを比較するとカロリーや炭水化物は、ご飯が多いです。
実際には、脂質がご飯は0.5gに対して食パンだと2.5gと5倍です。
太る原因の1つが脂質の割合です。
上記の表からもわかるように、ご飯はほとんどが炭水化物で、
脂質の割合が全カロリーの2%しかありません。
一方、食パンの脂質は15%です。
食パンはバターやマーガリンなどを塗って食べるので、脂質の割合が高くなります。
またクロワッサンやデニッシュ系のように、サクッとしているパンは、
バターがたっぷり使われているので美味しいですが、脂質の割合も40〜50%とかなり高くなります。
減塩に向いてるのは
高血圧予防や健康を気遣っている方は「塩分」をきにされている方も多いはず
ご飯はお米に水を加えて炊くだけなので、食塩相当量は0gです。しかし食パンは作る際に塩が必要です。
そのため0.7gは摂取してしまいます。
たんぱく質の質の比較
最近、健康や美容のため筋肉アップを意識されている方が多いです。
筋肉というとたんぱく質ですが、実はたんぱく質は量よりも質が大切。
ご飯と食パンを比べると、たんぱく質量はご飯が3.8gに対し、食パンは5.3gと食パンの方が多いです。
しかし原材料の米と小麦粉でたんぱく質の質(アミノ酸スコア)を比べると、
お米は65に対して、小麦は38とかなり低いです。
ちなみに肉や魚、卵、大豆製品、乳製品のアミノ酸スコアは100です。
たんぱく質の質の視点から見ると、実はお米は優秀なたんぱく源です。
噛む回数の違い
ご飯は粒食、パンや麺類は小麦を粉砕した粉食
パンや麺類のような粉物食品は、ご飯と比べると噛む回数が圧倒的に少ないため
腹持ちが悪く、すぐにお腹が空いてしまいます。
また、食べたあとに無性に甘いものが欲しくなったり、余計なものを食べてしまうことも・・・
ご飯はお米で、粒食のためパンや麺類よりも噛む回数が多くなります。
そのため腹持ちがよく、満足感が長持ちするので間食が減ります。
ちなみにご飯を食べているとき、お米の粒を噛むというよりかは、
潰すという感覚で食べていきます。
そうすると、噛むことに集中でき、自然にご飯を噛む回数を増やすことができます。
またご飯は噛んでいくうちに、お米の甘さを感じ、美味しさを味わえます。
最後に糖質制限ブームにより偏った炭水化物の情報が氾濫しています。
ごはん、パン、麺類は異なる文化や食習慣から生まれた主食。
それぞれに栄養価や食感、風味の違いがあるので、
日々の食生活を楽しみながら、ライフスタイルや健康や美容に合わせて選択していきましょう。