1日30品目もとらなくても栄養のバランスは整えられる
以前は、国の食生活指針として「1日30品目」が推奨されていました。
当時は、おかずの品数が多ければバランスが良いと思っている人も多くいました。
しかし現在では、むしろおかずの数を増やすことでバランスを崩す傾向があるということがわかり、1日30品目は推奨されなくなりました。
おかずがたくさん並んだ食事は豪華に見えますが、必要以上におかずを食べやすくなります。おかずが多いと、調味料の種類や使用量も増えて、脂質や塩分の摂り過ぎにつながってしまいます。品数が多いと、つい過食しやすい傾向があります。
それにより、肥満の方も増えてきています。
同じボリュームの食事にする場合、品数が多いということは、ひとつの食材の量が少なくなります。せっかく栄養豊富な食材でも、とる量が少なければ、栄養量も少なくなってしまいます。
食材に含まれる栄養素を効率よく摂取するには、品数を多くするよりも、質の良い食材をとりいれることがコツです。
日によってとる食材に変化をつけて、1週間を通して、いろいろな食材をとると栄養(素)のバランスもとれるし、食事も楽しめます。
どんな食材を選べばよいか
栄養価が高く、食材の味が美味しい、旬の食材を選ぶことをおすすめしています。また地場産の野菜は、輸送時間が短いため、鮮度が良い食材です。
品数が少なくても、いい食材をしっかりと食べたほうが、栄養価が高くなりやすいのです。
たとえば、サラダを食べるときは、20種類の野菜が入っているものよりも、数種類でいいので、旬のものを使っているほうがおすすめです。
20種類入っているサラダでは、品目を増やすために旬の野菜でないものも入っていることが多いです。それではせっかく20種類も野菜が入っていても、栄養価が低くなってしまいます。逆に旬のものを数種類とれば、結果的に栄養価は高くなります。
また、おかずがたくさんあると、食事は華やかにみえます。しかし、普段の食事でおかずを多く作ることは、とても手間がかかって大変です。
ここでおすすめの方法が「数より質で勝負」です。
普段の食事はおかずを1品にし、行事やおもてなしのときには品数を増やします。こうして、メリハリをつけると、食事がより楽しく感じられます。
食事を見直すと、健康だけでなく地球環境問題にも取り組める
忙しくておかずを作るのが大変な方も、旬の食材を使って、おかず1品で栄養のバランスがとれるなら、体も心も負担が減りますね。
おかずを作り過ぎてしまうと、残ってしまうこともあります。翌日に食べることもありますが、それでも食べきれなかった時には、廃棄してしまいますね。それは食べ物がもったいないです。
日本の食品廃棄物量は年間約2800万トンと言われています。これは食料消費全体の3割を占めています。
特に、食品廃棄物量のうち、約60%が家庭から出されています。食品廃棄物の内訳は、主に、食べられる部分を捨てている、食べ残し、期限切れになった食品などです。
日本ではまだ食べられるのに廃棄される食品、いわゆる食品ロスは、年間643万トンと推計されています。
おかずを作る量、品数などを工夫するだけで、食品ロスを減らせます。例えば野菜はいっぺんに数多く購入すると、時間が経つにつれ、鮮度が落ちます。また栄養価も下がってしまいます。一方、冷蔵庫にものを詰めすぎると、温度が下がりにくく、エネルギー効率が悪くなります。
このようにおかずを沢山作ろうとすることをやめれば、健康だけ得なく、環境にもやさしい食事へと変わります。
日本は食糧自給率が低いため、各国からの輸入に頼っています。食品を輸入するということは、輸送する物量と、移動する距離を掛け算すると、とても大きなエネルギーを消費していると気づかれると思います。食料の移動コストを考える指標である『フードマイレージ』というものがあります。日本は大量の食品輸入国=フードマイレージが高い国、ということでもあります。
生産地から食卓までの距離が短い食材を食べたほうが、輸送に伴う環境への負荷が少なくなります。
地元の食材、旬の食材、国産を使う、乾物を利用するなどこうやって食材の選び方ひとつで、あなたの、健康に役立つだけでなく、環境問題にも役にたつんですよ。
是非、はじめてみてくださいね。